こんなことも

 こんなことも
はじめての経験。じつはあるメーカーのカーボンフレームに、リアブレーキ固定台座の不具合が発生して代理店に対応してもらっていたのですが、どうもその症状は不具合ではないらしいということがわかりました。

メーカー名は控えますが、この日誌を今シーズンずっと読み続けて頂いている方は、2台目の組み立てだった日誌のことを話すとピピ~ンとくるかもしれません。
はじめての経験というのは、その1回目の代品でも同じ症状が出て今回2回目となった代品でもまったく同じ現象だったからなのですが、ちょっといきさつをご説明しましょう。皆さんがお使いのフレームでこういうケースがあるかもしれませんからご参考までに。

お客様からご連絡を頂いて、当初不具合だと思っていたのは、キャリパーブレーキを取り付ける箇所のシートステイのブリッヂに圧入されているスリーブが動いてしまう現象です。カーボンフレームですからブレーキ取付け用のスリーブをエポキシ樹脂で接着しているわけですが、取り付けナット側はしっかり固定されているのにキャリパー側が動いてしまい、これは不具合品だとメーカーでも代品の対応をしてくれました。
しかし、3度に渡るこの現象はおかしいと代理店でも判断したのか調べた結果、取付けナットの長さによって固定状況が変わるということが判明したのです。

シマノでは、キャリパーブレーキ用にそれぞれのフレームモデルに対応できるよう専用ナットを用意しています。写真のとおり10.5mm、12.5mm、18.0mmと、そしてボリュームの大きいクラウン向けに27.0mmの4タイプです。
このうちリアブレーキに使用するのは製品に付属される10.5mm。カーボンフレームは各メーカーによってブリッヂのボリュームも異なりますからわかりづらいケースもあるかもしれませんが、シマノでもリアブレーキ用には10.5mmのナットしか用意していません。10.5mmのナットも前後用となっており場合によってはフロントにも使用できるケースもあるかと思いますが、10.5mm以外のナットはすべてフロント用です。

今回も長めのナットを使用していたためにキャリパーブレーキが完全に固定されず動いてしまっていたのです。リアブレーキ用の10.5mmのナットを使うことで、しっかりと固定されスリーブが動く現象は解決しました。もしもこういうケースでお困りの方はご参考にして下さい。
ちなみにデュラエースのフロントブレーキには、フォーククラウンのボリュームに応じて3つのナットが付属されていますので、組み立て作業の際に間違えて使わないようお気をつけ下さい。長さは全長ではなくつばの部分を差し引いた長さです。特に10.5mmと12.5mmは見た目はそれほど違わないので、ナットがたくさんあってお手持ちのブレーキを使う場合なども注意したほうがよいですね。

店長はこれまでの経験から本来リアブレーキ固定台座のスリーブは動かないのが当たり前と考えていたのですが、このメーカーの場合はナット側のスリーブをキャリパー側に被せて挟んでいる形状からキャリパー側にはエポキシ樹脂がまわりにくかったのかもしれません。メーカーでも2度にわたって代品対応したということは想定外の現象だったのだと思います。ともあれ、今回はとてもめずらしい経験をしました。今後に活かしていきたいと思います。