フォーク交換

 フォーク交換
リコールでお持込み頂いたcerveloに装着のフォーク交換作業を終えました。今回のリコールはフォークメーカーではなくcervelo社が行う自主回収。
案内によると、トゥルーテンパー社が製造しているWolf SLフォークのコラム部分に破損する危険性のある問題が潜在的に発生しており、ブレードを供給しているcervelo社がこれを回収するというものです。

今回は、交換の際にポジションチェックも同時にお願いしたいということで、カウンセリングプログラムによりクリート調整とポジションチェックをさせて頂いたのちにコラムの長さを決めてから交換作業を行いました。交換の作業自体はそれほど時間が掛かるものではないですが、今回はちょっと勝手が違いました。

今回のフォーク交換はリコールということでもちろんコラムはカーボンで、ヘッド調整はカーボンコラムではあまりお目に掛からないスターファングルナットを使うタイプでした。これは、カーボンコラムにアルミスリーブを挿入させ、エポキシ系の接着剤で固定する方式ですが、2液を混ぜ合わせて化学反応によって硬化させるエポキシ系接着剤はテキパキと作業しないと固まってしまうので注意が必要です。固まったあともすぐには作業できず一昼夜置かなければなりません。交換前のWolf SLフォークも同じ方式でしたが、時間を置かずに作業されていた為かアルミスリーブが少し浮いた状態になっていました。

ちなみに、代理店から送られてくる代替品には説明書など一切添付されておりませんから、もし今回のリコール品をご自分で交換作業さなる場合は気を付けられたほうがよいかと思います。接着剤はこの2つを混ぜ合わせて使いますが、凄いにおいがしますから換気にも気をつけたほうがよいでしょう。

ここで作業方法をちょこっとだけご説明しておきますね。まず、付属のサンドパーパーとアルコールペーパーでコラム内部をクリーニングします。アルミスリーブもアルコールで一緒に拭きます。次に混ぜ終わった接着剤をまんべんなくアルミスリーブに塗るわけですが、最初に固定ボルトをスリーブに取り付けておいたほうがよいでしょう。固定ボルトを持たないとスリーブ全体に塗ることはできないからですね。
で、塗り終わったらコラムに挿入させるわけですが、挿入させたあとは余分な接着剤が外に出てくるので固まらないうちにウエスなどで速やかに拭き取ります。拭き取ったあとはコラムとスリーブが面一になるようプラスチックハンマーなどで軽く叩いて合わせます。
これで完成ですが、コラム長を決める時はトップキャップの厚み分がステム(もしくはスペーサー上部)から1mm下に沈みますからここも注意しないといけませんね。こんな感じでコラム上端から3mmくらい確保出来ていればいいと思います。今回はすでに使用しているフレームだからコラム長を決めるのは割と簡単ですが、新品フレームでコラムカットする時の寸法出しはもうちょっと慎重になりますね。

それと、通常、カーボンコラムの場合はステムの上に5mmか10mmのスペーサーを1枚入れて、ステムでカーボンコラムの先端を直接締め込まないようにするんですが、今回はアルミスリーブが挿入されているので、アルミコラムの時と同じ長さでカットしています。スタイル的にはこっちのほうがカッコいいですよね。カーボンコラムになぜアルミスリーブを挿入させるのか、元々の目的は強度アップのためでしょうが、スタイル上の二次的効果も得られますね。でもこの方式は手間が掛かるのも事実。リコール対策品は3TのFUNDA PROでしたが、代理店ではこういう方法でセットするとは何も言わなかったなあ。

フロントフォークを交換したあとはもちろんブレーキシューの再調整もお忘れなく。フォークを交換される際は、コラム長を間違えて切っちゃったらそのフォークは使えなくなってしまうからくれぐれもご注意下さい。作業に不安を覚える方はやっぱりショップに任せたほうが安心かもしれませんね。

あ、それと代替品には下玉押しは付いていないので、現在お使いのものを専用工具で外してお使い下さい。その際はボールレースリムーバーなどを使うと安心ですね。昔あったU型の外し工具は使用しないほうがよいと思います。店長は選手時代、塗り替えたフレームをあるショップで作業してもらった時に無造作に作業されてフォークにキズが付いてしまったことがありました。あれはショックだったです。新しい下玉押しを用意する場合は30.0mm規格品です。