シマノフェスティバル

 シマノフェスティバル
札幌で催されたシマノの展示会、もちろん豊富レースに関係の深いあの方もおいででした(わかる人はわかる^^)。シマノフェスティバルは全国で開催されているからあちらこちらで書かれていると思うけど、うちでも店長の視点で今日の感想をちょこっと書いてみようと思います。

今回の目玉は7900シリーズと電動メカコンポの7970。他にはNewモデルの105ブラックバージョンなども完成車に組みつけられて展示されていました。組み付けのフレームはどちらもカーボンですが、105のほうはあきらかに価格が下と思えるフレーム。ハンドルなども7900はPROのステルスEVOカーボンモノコックで全体的な見せ方にも格差を付けていましたね。フレームは内緒で聞いたら国内のあるところに頼んだ特注モデルだそうです。

MTBのほうも3つほど新製品がありましたがこちらは割愛します。

プレゼンの最初は輪界における一般車市場のお話で、プレゼンは全体的に3部構成となっていました。この日誌を読まれている方は一般車は関心がないと思うから飛ばして、いよいよ本命の7900と電動メカ7970の説明が始まったから店長はひとつも聞き逃すまいと必死にメモを取りました。速記者ってすごいですね。店長は資料封筒にこんな感じで表裏にビッシリとメモリましたが明るいところで読んだら判読できない文字もあります^^

とりわけ7900の取付け方法の説明では全神経を集中させて聞いていたから組み付け自体はもう大丈夫だけど、来年の1月27日に今度はテクニカルセミナーがあるのでおさらいでまた出席しようと思います。

ご自身でバイクを組む方は注意しておいたほうがよいこともあるんですが、場合によっては事故にもつながりますので、その辺も含めて今回気がついた点を少しあげておきますね。

まず、STIレバー。7900はワイヤーのライン取りのとおり、見た目も握った感触も7800とはまったく違います。レバー自体もショートリーチになってアンダーバーを握った時にコントロール性が高まったと思います。手の小さい店長でも現在使っているSTIレバーよりは握りやすかったです。でも、7900になって困った部分もありますね。(といえるかどうかは個人的な判断ですが)
それは、シフトワイヤーがこれまでのようにブラケットからビヨーンと外に出ていないので、内側の出っ張りがなくなったため高速で走っている時に親指を置く部分がなくなってしまったこと。グリップポジションによっても違うから関係ない方には関係ないですが、店長の場合は出っ張りはあったほうがライディングが安定するのです。見た目はないほうがスッキリしますが・・。

で、カンパと同じくハンドルに沿わせるから、抵抗を少なくさせるためシフトのインナーは頭から先までフッ素コーティングがなされます。コーティングインナーはタイコ部分にNの刻印があります。これは7900専用インナーケーブルで他のモデルでは使えません。アウターが対応していないから。逆もしかり。同様にブレーキングが重くなってしまいます。こちらで確認すると専用ワイヤーだということがよくわかります。そして、7900のSTIレバー(とシマノが現在もこう呼んでいるのかどうかは不明。正確にはデュアルコントロールレバー)には7800のブレーキも使えません。互換性がないためガッツンという当たりが出てしまいます。
基本的に7800と7900は互換性がないのですが、組み合わせによっては使えるものもあります。例えば7900チェーンを7800対応スプロケットには使えます。でも変速性能が落ちてしまいます。逆に7800チェーンは7900スプロケットには使えません。
やっぱりコンポーネントは統一して使ったほうが間違いがないですね。チェーンでついでにもうひとつ。7900からいよいよ時代の流れでシマノもクイックリンクを採用しましたが、取り付けの時にはプレートの向きに注意します。ギアの形にプレートのアールを合せて取り付けします。刻印があるほうが手前側です。7900チェーンは方向性を持たせているため取り付けの時には注意しましょう。変速性能に大きく関係してきます。

店長、実際に7900と電動メカのエレクトロニック・シフティングシステム「Di2」を試してみました。結論、すぐにカレラに実装したくなりました^^
写真でちょっとご確認ください。こちらこちらこちらはインジケーター。レバースイッチを長押しすると緑か赤の光によってバッテリーの状態がわかります。点灯と点滅のそれぞれ割り当てられた残量表示で充電のタイミングを測るわけですが、フル充電で1,000kmから2,000km。充電は市民レーサーではひと月に一回くらいでよいですかね。
ちなみに走行距離はずいぶんアバウトな発表ですが、これは操作回数に関係してくるためで、前述のインジケーターでは赤の点灯で残量約25%ですが、この状態でも220kmは走れるそうです。これはプロレースの一日の走行距離を前提に設定されたのかもしれませんね。

「Di2」はとにかく凄いです。以下、操作してみた店長の感想。

変速はシマノが目指すまったくのストレスフリー。フロントディレイラー(以下FD)の変速は、ギアの移動を終えてギアポジションが決まったのちに適正な場所にプレート位置がチュイーンというような音とともに微調整されます。だからプレートがチェーンと擦れる心配は無用。7900になってから今までのトリム操作は不要になりましたが、「Di2」はすべてがオート変速だから自分が使いたいギアだけ選択してレバーのスイッチをポチッと押せばあとはメカが勝手に動いてくれます。バネも弱いからインナーへのチェーン落ちも少ないようです。

チェーン落ちについては7900でもリアのギアポジションを変えながら数十回フロントチェンジを試してみましたがまったく落ちませんでした。シマノはチェーンラインを43.5mmに設定していますが、フレームメーカーによっても多少影響が出るのですべてのケースで大丈夫かは不明です。が、これまでよりは脱落のトラブルも少なくなるでしょう。
7900は格段に性能アップしていますね。7900は7800よりもシフトのタッチとチェンジのレスポンス、それにチェンジ後のチェーンとスプロケットの噛み合い感とでもいうような感触がとても良くなっていると思います。この辺は個人的主観ですが・・。

でも、「Di2」で一点だけ店長が心配だったのが、変速に慣れていない方がギアとチェーンを噛み込んでしまわないかどうかという点。噛んでしまった場合ワイヤー式ではないから自分でプレート位置を移動できないためその場合どうするか。

実際に試しながら担当の方に聞いてみました。どうしたかというと、ギアを回しながらFDをスイッチで移動させ、移動と同時ににギアの回転を止めてわざと噛みやすい状態にしてみたわけですが、さすがに展示車は完璧な調整。ギアとアウタープレートの隙間は1~2mmくらいだったから再現させることは出来ませんでした。ギアの歯先にチェーンが引っ掛かった状態でプレートがガツッと当たって止まりはするけど噛むまではいかない。イン側アウター側それぞれのスイッチで簡単に戻ります。メーカー完成車にはとんでもない隙間のセッティングもあったりするんですが、今日は無理でした。
お話をしていると、いつの間にかシマノの熟練メカ黒川氏もおいでになっていて、氏がおっしゃるには、変速が完了しないときには7秒でスイッチ操作はリセットされるとのこと。うん、なるほどと一応納得はしてみたものの、設計上そういうケースは想定していないのかもしれないなあ。(嫌な客だったかもしれないなあ^^)
黒川氏からも明確な回答は得られなかったから、あまり突っ込んでも申し訳ないので途中で話を切り替えたら、話題がレース機材のレギュレーションの内容になって氏から機材に関する有益情報を聞くことができました。さすがにプロレースにも明るい方ですね。これからのレース界の動向にも大きく関係してくるお話でした。フラッグシップモデルはプロレースを舞台に考えているから、メーカーの思惑とレギュレーションの問題がかち合っちゃうと、もちろん製品開発にも影響が出てくるんだろうなと思いました。

ところで、「Di2」のFDをセットする場合は、取り付けの時は十分ご注意下さい。電動でインナー側に戻るので指を挟んだら大変。かなりの力なのでくれぐれもお気をつけください。

他にもいろいろありましたが、書き切れないのでそろそろこの辺でおしまいにします。12月末の発売が楽しみですね。7900のフライトデッキも楽しみです。こちらは来春予定。心拍計と高度計、勾配計が付いてさらに進んだ高機能モデルとなっていますね。但し勾配計は他のモデル同様、気圧で計測するタイプかもしれません。確認すればよかった。
勾配計付きモデルはMAVICなどでも出していますが、MAVICのように気圧を利用するモデルはCLINOのようには正確なデータは得られないと思います。CLINOはマイクロ加速度計を使用しているため正確に計測できますが、これは特許権を取得しているため他のメーカーは使えないのですね。勾配計の機能だけ求めるならば、やっぱりCLINOが一番かな。